談話
「特定秘密の保護に関する法律」の成立に抗議する書記長談話
「特定秘密の保護に関する法律」の成立に抗議する書記長談話
2013年12月6日
日本教職員組合 書記長 岡本 泰良
12月6日、参議院本会議で「特定秘密の保護に関する法律」(以下、「秘密保護法」という)が、衆議院に続き強行採決された。参議院での審議時間は衆議院の半分以下のわずか22時間で、埼玉の地方公聴会も前日夜に決定するなど、与党による議会運営は横暴極まりなく、「良識の府」としての誇りをかなぐり捨てた憲政史上の汚点と言える。日本教職員組合は、憲法の根幹をも揺るがす重要法案について、廃案を求める多くの国民の声を無視し数の力により強行成立させるという暴挙に強く抗議する。
国会審議における政府答弁は二転三転し、審議を重ねるごとに法案の不備が明らかになり、国民の不信と疑念が一層高まった。それにもかかわらず早期法案成立に固執する政府の姿勢に、法案に潜む危険性・悪質性がより際立ち、思想・良心の自由や報道の自由を剥奪し戦争へと突き進んだ戦前の政府を彷彿させた。日増しに国内外の学識経験者、マスコミ関係者などから廃案を求める声明が表明され、国会周辺には多くの市民が集まり反対の声を上げている。
「秘密保護法」は、「特定秘密」の範囲を四類型(防衛・外交・特定有害活動の防止・テロリズムの防止)としているが、定義は曖昧であり政府の裁量で際限なく広がる恐れがある。「秘密保護法案」に反対する市民のデモについて「テロ行為とその本質においてあまり変わらない」とした石破自民党幹事長発言は、言論弾圧、政治弾圧の危険性を浮き彫りにした。また「秘密保護法」は、「国家安全保障会議(日本版NSC)」の設置に合わせて米国との情報共有・情報管理を徹底し、「日米の安全保障・防衛協力の強化」を狙うものである。来年の通常国会で提出が目論まれている「国家安全保障基本法案」と密接に関連し、集団的自衛権の行使容認のための体制づくりであり、平和憲法を無力化し「戦争のできる国」づくりをすすめるものと言わざるを得ない。
日本教職員組合は、「秘密保護法案」は、憲法が保障する国民の権利を侵害し、三権分立の形骸化を招き、憲法9条及び前文で規定する恒久平和主義と相反するものであることから廃案を強く求めてきた。与党が多くの国民の反対の声を無視し、強権的に法案を強行成立させたことは断じて容認できない。
引き続き日本教職員組合は、「教え子を再び戦場に送らない」ため、集団的自衛権行使の容認に断固反対し、今後予想される「国家安全保障基本法案」の阻止を目指し、より広範な運動を展開する。また、政府与党の暴走を止めるべく、次期国政選挙においては民主リベラル勢力の勝利に向けたとりくみを強化する。
以 上