談話
沖縄県知事による名護市辺野古沖・公有水面の埋め立て許可に対する書記長談話
沖縄県知事による名護市辺野古沖・公有水面の埋め立て許可に対する書記長談話
2013年12月27日
日本教職員組合書記長 岡本 泰良
12月27日、仲井真沖縄県知事は、辺野古新基地建設のための「公有水面埋め立て申請」を承認した。これは、戦後68年にわたり米軍基地の負担に苦しんできた沖縄県民への背信行為であり、米軍基地のない平和な日本を切に求めるすべての市民を裏切る卑劣な決定である。日本教職員組合は、「公有水面埋め立て申請」承認を直ちに撤回することを求める。
沖縄県では、本年1月、オスプレイ配備に反対する県民大会実行委員会、県議会、県下41市町村の首長、議会の連名による「建白書」において、「オスプレイ全機の配備撤回」「普天間基地の閉鎖・撤去と県内移設断念」を日本政府に求めていた。仲井真知事が承認の根拠とした日本政府の振興策と負担軽減策は、その実効性の担保もない単なる口約束であり、「建白書」などの民意や従来の県の政策と乖離したものである。
政府・自民党本部は、11月に沖縄県選出の自民党国会議員5人、県会議員15人や県連に対して力ずくで、県外移設の選挙公約を破棄させ、辺野古移設容認へと転向させている。これに反発した那覇市議会は、「辺野古沖移設を強引に推し進める政府に対して激しく抗議し、普天間基地の県内移設断念と早期閉鎖・撤去を求める意見書」を採択し、政府の強引な手法に強い憤りを表明している。さらに、辺野古がある名護市の稲嶺進市長は、国の埋め立て申請に反対する意見書を県に提出した。政府の強引な手法に対して民意は憤怒している。
また、埋め立てに伴う環境への影響を調査していた県環境生活部は、「絶滅が危惧されるジュゴンが生息する沿岸海域で大規模な埋め立てを行い、生活環境が良好で静穏な地域に米軍飛行場を移設することは環境影響がきわめて大きい」と指摘するなど、政府が提出した環境アセスには数々の不備や欠陥があることは明らかである。それに対して承認の際、仲井真知事による「現段階で考えうる環境保全の措置を講じている」との説明は極めて不誠実である。このような移設計画が、公有水面埋立法が求める環境保全への考慮など厳格な承認要件を満たすことはあり得ない。
安倍政権が強引に推進する辺野古新基地建設は、自衛隊を米軍と一体化させ、米国とともに戦争を遂行できる「軍事国家」をつくり上げる一環である。
日本教職員組合は、「教え子を再び戦場に送らない」ため、安倍政権がすすめようとしている軍事大国化路線に断固反対するとともに、辺野古の新基地建設反対、世界で最も危険と言われている普天間基地の早期返還、在日米軍基地の縮小・撤去と日米地位協定の抜本的改定に向けたとりくみを、平和フォーラムとともにすすめていく。