談話

「防衛装備移転三原則」の閣議決定に対する書記長談話

2014年04月01日

「防衛装備移転三原則」の閣議決定に対する書記長談話

 2014年4月1日

 日本教職員組合 書記長 岡本 泰良

安倍内閣は、4月1日、「武器輸出三原則」を廃止し、新たに「防衛装備移転三原則(以下、新原則)」を閣議決定した。「武器輸出三原則」は、共産圏諸国、国連決議による武器禁輸国、国際紛争当事国またはその恐れがある国には武器を輸出しないというものであり、1967年、佐藤栄作首相が表明した。さらに、三木武夫首相が1976年に全面禁輸とした。その後、対米武器技術供与やミサイル防衛の日米共同開発が例外扱いされたものの、「非核三原則」とともに平和憲法に基づく戦後日本の国是であった。新原則制定は、憲法の基本理念である平和主義からの転換をめざすものであり、断じて容認できない。

輸出の条件として新原則は、国際条約の違反国などには輸出を禁止するとしているが、規制対象は極めて限定的であり、紛争当事国への武器輸出を可能としている。また、輸出を認める場合を限定し、厳格審査と情報公開を掲げているが、最終判断は国家安全保障会議に委ねられており、恣意的に運用されかねない。さらに、目的外使用や第三国への移転が行われないよう適正管理するとしているものの、その危険性を完全に管理することは不可能と言える。武器輸出を拡大することは、国際紛争を助長することにつながり、日本の平和と安全を脅かすことになる。

2月下旬に実施された世論調査において、「武器輸出三原則」緩和への反対は66.8%に上り、賛成の25.7%を圧倒している。特に、与党支持層においても自民55.8%、公明79.7%と反対が多数を占めている。このことからも安倍政権がすすめる「戦争ができる国づくり」政策が、国民の支持を得ていないことは明らかである。

安倍政権は、「積極的平和主義」を標榜して、国の安全保障政策の基本的な枠組みを変更することで、新たな政治的緊張を生み出そうとしている。武器輸出の緩和が、集団的自衛権行使容認や憲法9条改悪の動きと一体であることは論をまたない。日本政府は、武力による国際紛争の解決を永久に放棄した平和憲法の理念にもとづき、外交や経済・開発援助などによる「紛争防止」にこそ力を注ぐべきである。日本教職員組合は、安倍政権がすすめようとしている軍事大国化路線に断固反対するとともに、憲法が要請する平和外交政策への転換を求め、一層とりくみを強化していく。

以上

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