談話

教育委員会制度見直しに係る地教行法改正(案)の閣議決定に対する書記長談話

2014年04月04日

教育委員会制度見直しに係る地教行法改正(案)の閣議決定に対する書記長談話

 2014年4月4日

 日本教職員組合 書記長 岡本 泰良

本日、政府は、教育委員会制度見直しに係る地方教育行政の組織及び運営に関する法律改正案(以下、地教行法改正(案))を閣議決定した。
執行機関としての教育委員会制度は残すものの、首長主宰の「総合教育会議」の設置、現行の教育委員長と教育長の役割を兼ねる首長が任免権を持つ新「教育長」の配置など、教育への政治介入を強く危惧する。安倍政権は「教育再生」の名のもと、政治主導による教育「改革」をすすめているが、地教行法改正(案)はその典型である。

当初、文科大臣による地方自治体への是正要求の発動要件の緩和も考えられていた。文科大臣には他の大臣よりも自治体に対して強い権限がすでに与えられている。他の大臣と同様、地方自治法による一般ルールに留めるべきである。さらに強化することは、中央集権・国家統制につながるものであり、改正しないことは当然である。

いじめ等の問題をめぐって、「教育委員会は迅速に対応できない」として、合議体である教育委員会のあり方に結び付けられているが、問題は教育長をはじめとする教育委員会事務局に起因している。このことは、大津市におけるいじめに関する第3者調査委員会報告においても、「重要なことは、教育長以下の事務局の独走をチェックすることであり、その一翼を担う存在として教育委員の存在は決して小さいものではないはず」と指摘されているところである。

教育委員会制度は、戦前の反省に立って、教育が「不当な支配に服することなく」その自主性を保障し中立性を確保するために創設されたものである。教育は、政治的党派性のある独任の首長から独立して、一個人の価値判断で決定するのではなく多様な意見や立場を集約した合議制によって方針決定することが必要である。

今回の地教行法改正(案)は、教育の本質につながる極めて大きな問題である。首長から独立した、合議制執行機関によって方針などが決定される教育委員会制度を存置し、その機能の発揮と活性化する方策を採るべきである。

日本教職員組合は、こうした立場に立って国会対策を強化していく

以上

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