談話

「エネルギー基本計画」 の閣議決定に対する書記長談話

2014年04月11日

「エネルギー基本計画」の閣議決定に対する書記長談話

 2014年4月11日

 日本教職員組合 書記長 岡本 泰良

安倍内閣は、4月11日、国の中長期的なエネルギー政策となる「エネルギー基本計画(以下、基本計画)」を閣議決定した。

本計画は、東電福島第一原発事故後初の策定であるにもかかわらず、再生可能エネルギーの導入について、具体的な数値目標を設定することなく、高リスクで高
コストの原発を「重要なベースロード電源」と欺き再稼働をめざしている。また、福島第一原発事故への「深い反省」としながらも、あたかも原発事故が無かっ
たかのように原発推進路線へ回帰しようとしている。民主党政権が「2030年代に原発ゼロ」とした「革新的エネルギー・環境戦略」は、「脱原発」を求める
多くの市民の声にもとづくものであった。日本教職員組合は、「脱原発」の声を無視し、原発推進をもくろむ基本計画の撤廃を強く求める。


本計画では、原発の安全性について「原子力規制委員会の専門的な判断に委ねる」とし、さらに原発の再稼働について「原子力規制委員会により世界で最も厳し
い水準の規制基準に適合すると認められた場合には、その判断を尊重する」としている。しかし、田中原子力規制委員会委員長は、2月の定例記者会見において
「規制委は絶対に安全とは言っていない」とし、新規制の適合審査の後、「再稼働するかどうかは、社会、国民、政治の判断になる。規制委はそこには関与しな
い」との考えを示している。誰一人として原発の安全性について確約しない無責任な体制は依然として続いている。過酷事故時の避難計画も実効性が乏しく、住
民へ犠牲を強いる状況は何ら変わってはいない。原発の再稼働は許されるものではない。

また、基本計
画は、再処理やプルサーマル等の核燃料サイクル政策を推進するとしている。停止している高速増殖炉「もんじゅ」は、年間200億の維持費がかかっている。
本格稼働の延期を繰り返している六ヶ所再処理工場は、稼働したとしても年間13兆円とも言われる莫大な費用が必要になる。30年前に計画された核燃料サイ
クル政策が、すでに破たんしていることは明らかである。福島第一原発事故の被災者が置かれている現状を考えるなら、直ちに核燃料サイクル政策から撤退し、
被災者支援にその全額を充てるべきである。

福島第一原発事故後、多くの国民が原発の運転停止を求め、これ以上原発事故が起きない社会を希望した。そして現在、稼働中の原発はなく、電気の供給に何ら不都合は起きていない。今こそ原発を廃止すべき時である。
日本教職員組合は、「核と人類は共存できない」として、原子力政策推進から再生エネルギーの促進、省エネルギー推進への政策転換を求めてきた。今後とも日本教職員組合は、平和フォーラム・原水禁とともに脱原発社会の実現をめざしとりくみを強化していく

以上

pagetop