談話

「改正」国民投票法の成立に対する書記長談話

2014年06月13日

「改正」国民投票法の成立に対する書記長談話

 2014年6月13日

 日本教職員組合 書記長 岡本 泰良

本日、自民党、公明党と民主党など与野党の賛成により、憲法改正手続きを定めた国民投票法「改正」案が可決成立した。

「日本国憲法の改正手続に関する法律(以下、国民投票法)」は、その成立要件が「有効投票総数の過半数」という低い基準であること、複数の条文を一括で投票させる方式であること、公務員や教育者の運動を制限することなどの欠陥法で、2007年に第1次安倍政権が強行成立させたものである。また、18歳選挙権実現等のための法整備、公務員の政治的行為に係る法整備、国民投票の対象拡大の3つの課題の検討を施行までの3年の間に行うよう附則で定められていた。しかし、この間、憲法改正は喫緊の課題ではなく、検討はされていたものの必要な法改正は行われてこなかったが、第2次安倍政権の発足により国民投票法の改正作業が慌ただしくすすめられていた。

3つの検討事項について「改正」法では、①国民投票の投票年齢を施行4年後に「20歳以上」から「18歳以上」に引き下げる、②公務員が憲法改正に関する賛否を表明すること等を容認、③国民投票の対象拡大については、引き続き検討を続けるなどと定めている。また、公務員に関しては、附則において「組織により行われる勧誘運動、署名運動及び示威運動の公務員による企画、主宰及び指導並びにこれらに類する行為に対する規制の在り方について検討を加え、必要な法制上の措置を講ずる」としている。さらに、附帯決議においても、地位利用に対する罰則規定の検討と地方公務員の政治行為に対する国家公務員と同様の規制とすることについて言及している。

そもそも憲法改正に関する国民投票運動は、国民主権の行使と直結した表現活動であり、憲法上、最大限保障されるべきである。公務員についても原則自由とされるべきであることは当然のことである。当面、地位利用を除いては公務員に対する規制は見送られたものの、先進国では広く認められている公務員の政治活動を不当に制限することは断じて容認できるものではない。

現在、安倍政権は、解釈改憲による集団的自衛権の行使容認によって憲法9条の空文化を目論んでいる。そして今後、「戦後レジームからの脱却」を標榜する安倍政権が、憲法改悪に着手することは明白である。

日本教職員組合は、それらの動きに対し、憲法の理念を守り戦争をさせないため、平和フォーラムや戦争をさせない1000人委員会等と連携し、より広範な運動を展開する。そして、暴挙をくりかえす安倍自民党の政権交代をもとめて、次の解散総選挙での勝利に向けたとりくみを強化する。

以 上

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