談話

九電川内原発を新規制基準適合とする審査書案の決定に対する書記長談話

2014年07月18日

九電川内原発を新規制基準適合とする審査書案の決定に対する書記長談話

 2014年7月17日

 日本教職員組合書記長 岡本 泰良

原子力規制委員会は7月16日、九電川内原発1、2号機について、「新規制基準に適合している」とする審査書案を了承した。今後、30日間の意見公募などを経て審査書を決定するとしている。事実上の再稼働容認であり、強く抗議し撤回を求める。

規制委員会の審査では、火山影響評価について噴火の予測はできないとの専門家の警告を認めながらも、今回の審査からは切り離している。また、東電福島第一原発事故による深刻な汚染水流出の問題があるにもかかわらず、川内原発に対する流出防止対策を九電に求めていない。さらに新規制基準は、福島第一原発の事故原因が未解決にもかかわらず、早急に策定されたものであり科学的、技術的にも不完全なものである。この基準に適合したとしても、田中俊一委員長ですら認めるように何ら安全性が保障されるものではない。再稼働にむけた手続きを直ちに中止すべきである。

現在、川内原発の30キロ圏内には、薩摩川内市など9市町に約21万5千人が暮らしている。事故時の避難経路などを定めた防災計画では、30キロ圏の住民の9割が圏外へ避難するのに最長で24時間45分かかるとされており机上の空論でしかない。また、避難先が風下になる可能性や、原発事故と地震や津波などとの複合災害について考慮していないなど、全ての住民が安全に避難するという重要な視点が完全に欠落している極めて問題のある計画となっている。

福島第一原発事故から3年4カ月が経ったものの、いまだ約13万人近くの人々が県内外への避難を余儀なくされている。福島第一原発事故を踏まえた福井地裁は、今年5月21日、原子力発電所の稼働を「経済活動の自由」とし、憲法13条、25条にもとづく「人格権」よりも劣位すると断言し、関電大飯原発3、4号機の運転差し止めを命じた。「核と人類は共存できない」ことは明らかである。国と全ての電力会社は、原発の再稼働を断念すべきである。

日本教職員組合は、新規制基準による原発再稼動の動きを断じて容認せず、経済よりも人命を優先する脱原発社会の実現をめざし、今後とも平和フォーラム・原水禁とともにとりくみを強化していく。

以 上

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