談話

九電川内原発を新規制基準適合とする審査書の決定に抗議する書記長談話

2014年09月11日

九電川内原発を新規制基準適合とする審査書の決定に抗議する書記長談話

 2014年9月11日

 日本教職員組合 書記長 岡本 泰良

原子力規制委員会(以下、規制委員会)は9月10日、九電川内原発1、2号機について、「新規制基準に適合している」とした審査書を決定し、原子炉の設計変更を認める許可書を、九電に交付した。これは、脱原発を求める多くの市民の願いを無視し、住民の命と暮らしをいたずらに危険に晒すものである。日本教職員組合は、審査書の決定に断固抗議し、撤回を求める。

審査書決定に先だって規制委員会は、「原子力施設における火山活動のモニタリングに関する検討チーム」の会合を開催した。会合では、「巨大噴火の可能性が十分に小さい」「モニタリングにより巨大噴火を知ることができる」とする九電の申請内容に対して異論が出されたが、十分な検討がされなかった。また、原発周辺にある火山の巨大噴火に備えるための「基本的な考え方案」が公表され、異常を検知した際の原子炉停止が求められたものの、検知のためのモニタリングが事業者任せなど、何ら実効性のあるものではない。

政府は9月3日、突如、地方自治体に任せていた避難計画策定への関与を決めた。伊藤鹿児島県知事は、要援護者のいる病院や福祉施設の避難計画について10キロ圏外は現実的でないとして先送りする無責任な態度に終始している。多くの自治体は、避難先を公共施設が多い鹿児島市に指定しているが、年の大半が原発の風下に位置し被曝が危惧される。そもそも実効性のある避難計画の策定は不可能であり、国の関与は単なるアリバイづくりでしかない。

1万7819件集まったパブリックコメントには、「火砕流の危険性」や「事故時の防止策の不備」など慎重な検討や審査書案の再考を求める意見が多数あった。しかし、規制委員会が、その多くを参考扱いとし、表現の一部を変更しただけで審査書を形式的に決定した。さらに、機器などの設計内容を記した「工事許可書」や、運転管理体制を確認する「保安規定」の審査を後回しにし、避難計画の実効性すら審査していないことは、極めて問題である。

安倍政権は、規制委員会の審査が終わった原発から再稼働させる方針としているが、田中俊一委員長は「リスクがゼロとは申し上げていない」としている。審査書が決定しても、安全性は全く担保されず、原発再稼働の理由とはならない。今後は、地元合意が焦点となる。再稼働ありきの審査書が決定されたことで、地元に責任が押しつけられようとしている。東電福島第1原発事故の教訓からも「核と人類は共存できない」ことは明らかである。再稼働は断じて認められない。

日本教職員組合は、川内原発再稼働の動きに反対して全力でとりくむ。また、全原発の廃炉と再処理からの撤退、核廃棄物の安全な処理の促進、再生可能エネルギー政策への転換など脱原発社会実現へ向けたとりくみをより一層強化していく。

以 上

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