談話

「関電高浜原発3、4号機運転差止仮処分命令」に対する書記長談話

2015年04月15日

「関電高浜原発3、4号機運転差止仮処分命令」に対する書記長談話

 2015年4月15日

 日本教職員組合 書記長 岡本 泰良

福井地方裁判所民事第2部(樋口英明裁判長)は、4月14日、周辺住民などが関電高浜原発3、4号機の運転差止めを求めた仮処分の申し立てに対し、再稼働を認めない決定を出した。これは、司法が原発の再稼働を直接禁止した画期的な決定である。

決定では、最近10年足らずの間に「各地の原発敷地外に幾たびか到来した激しい地震や各地の原発敷地に5回にわたり到来した基準値振動を超える地震が高浜原発には到来しないというのは根拠に乏しい楽観的見通しにすぎない」として電力会社の対策を厳しく批判している。

また、使用済み核燃料についても「わが国の存続にかかわるほどの被害を及ぼす可能性がある」とし、その対応に対して「国民の安全が何よりも優先されるべきであるとの見識に立つのではなく、深刻な事故はめったに起きないだろうという見通しのもとにかような対応が成り立っているといわざるを得ない」と指摘している。

さらに原子力規制委員会の新規制基準について、「深刻な災害を引き起こすおそれが万が一にもないといえるような厳格な内容を備えていることである」とし「緩やかにすぎ、これに適合しても原発の安全性は確保されていない。新規制基準は合理性に欠くもの」と断罪している。

関電高浜原発3、4号機については、2月12日、原子力規制委員会が再稼働の前提となる原発の新規制基準に基づく「審査書」を決定したが、これは「安全性」を保障するものではないことが改めて明確になった。さらに高浜町議会が3月20日に再稼働に同意したが、これは住民の命を軽視したものと言わざるを得ない。

そもそも司法はすでに、昨年5月21日の福井地裁判決で、原発の稼働が人格権を侵害することを明らかにしていた。しかしこの間、原発再稼働を推進しようとする国や電力会社の姿勢は、司法の判断を露骨に軽視するものであり、断じて容認できるものではない。本決定は、このような国や電力会社に対する戒めと言える。

国と全ての電力会社は、司法の判断を厳粛に受け止めるとともに、福島原発事故の現状を直視し、全ての原発の再稼働を断念すべきである。日本教職員組合は、「核と人類は共存できない」との立場から、経済よりも人命を優先する脱原発社会の実現をめざし、今後とも平和フォーラム・原水禁とともにとりくみを強化していく。

以 上

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