談話

大阪市教組教研会場使用不許可訴訟の大阪高裁判決に対する書記長談話

2015年10月13日

大阪市教組教研会場使用不許可訴訟の大阪高裁判決に対する書記長談話

 2015年10月13

 日本教職員組合 書記長 岡本 泰良

本日、大阪高等裁判所は、日本教職員組合事件「大阪市教組教研会場使用不許可訴訟」について判決を言い渡した。

本判決が、大阪地方裁判所の判決を覆し、大阪市労使関係条例12条の違憲性を認めなかった点は極めて不当である。

しかしながら、本判決が、教研集会は教特法の趣旨にかなうものであると、その意義を正面から認めるとともに、教研集会において学校施設を利用することの必要性が高いとした点は正当である。

また、本判決が、2006年の最高裁判決と同様の判断枠組みを用いた上で、①本件不許可処分が本件条例12条の存在のみを考慮することによってなされている点、②教研集会で学校施設を利用することの必要性や、学校施設を教研集会の会場として使用することによって学校教育上の支障が生じることは従来もなく、本件でもそのおそれはないこと等の当然考慮すべき事項を十分考慮していない点などを根拠に、社会通念に照らし著しく妥当性を欠き、裁量権の逸脱又は濫用に該当するとして、本件不許可処分を違法であると認定したことも当然である。

本判決は、本件各教研集会の会場として学校施設を使用することを許可することが適正かつ健全な労使関係を阻害する便宜の供与であるとは認められないと明確に指摘した上で、本件不許可処分を違法と判断した。大阪市は、このことを重く受け止め、自らすすんで速やかに条例を廃止し、教研会場として学校施設が一切使用できないという異常な事態を早急に解消すべきである。

日本教職員組合は、「ひらかれた教研活動」を教育運動の中心とし、社会的対話を通して、保護者・地域住民とともに「地域教研」をつくりあげてきた。各地で開催される教研集会は、深刻化する子どもの貧困や教育格差などを正面からとりあげるとともに、地域における教育課題を浮き彫りにし、その解決にむけた教育実践を共有化する役割を担ってきた。

日本教職員組合は、引き続き、すべての子どもにゆたかな学びと育ちを保障するために64年間積み重ねた教研活動の一層の充実にむけ、保護者や地域住民、すべての教育関係者等と手を携えて、困難な教育課題に真摯にとりくんでいく。

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