談話

沖縄辺野古新基地建設に関する本体工事着手強行に抗議する書記長談話

2015年10月29日

沖縄辺野古新基地建設に関する本体工事着手強行に抗議する書記長談話

 2015年10月29日

 日本教職員組合 書記長 岡本 泰良

沖縄防衛局は29日午前8時、沖縄県名護市辺野古の新基地建設で、本体工事の着手と海上工事再開を強行した。安保法制の国会審議でも明らかになった、住民の命や暮らしよりも軍事を優先し、市民の意見など一顧だにしない安倍政権の危険な本質が再び明らかになった。日本教職員組合は、新基地建設に反対する圧倒的な民意を無視する暴挙に断固抗議する。

政府と沖縄県は、8月10日から1か月間5回の集中協議を行ったが、安倍政権は「辺野古が唯一の解決策」とする姿勢を頑なに崩さなかった。これを受け翁長沖縄県知事は10月13日、仲井眞前県知事の承認過程に瑕疵があるとして辺野古沖の公有水面埋め立て承認を取り消した。

これに対して沖縄防衛局は、行政処分で不利益が生じた一般私人の救済を目的とする行政不服審査法の立法趣旨を歪曲して、審査請求と執行停止の申立てを国土交通大臣に提出した。28日に国交相が、その効力を止める「執行停止」を決定し、工事の着工が強行された。これら新基地建設に向けた安倍政権の一連の対応は、茶番であり愚行である。

さらに政府は、辺野古新基地建設条件付き賛成の地区に名護市を経由せず直接補助金の支出を目論んでいる。また、工事受注業者が、沖縄防衛局が設置した環境監視等委員会の委員に、寄付金など金銭支援していることも判明した。安倍政権による地域分断を意図した懐柔策、非法治主義的な強引な政策によって、新たな米軍基地が沖縄に押し付けられ、基地被害の重圧に半永久的に晒されることを断じて看過できない。

すでに沖縄県は、「国地方係争処理委員会」への審査請求を決定した。一方、政府は法廷闘争を視野に代執行の手続きに入っている。安倍政権の沖縄への強権姿勢は、常軌を逸していると言わざるを得ない。

翁長県知事が、政府の対応について「不当であるのはもちろん、多くの県民の思いを踏みにじり、断じて容認できない」とすることは当然である。この間、沖縄県民は、知事選をはじめとする一連の選挙で「新基地建設反対」の意思を明確に示している。さらに辺野古基金には、沖縄県を始め日本全国から賛同が表明されすでに4億6千万円以上が集まるなど沖縄の未来のために美しい自然と平和を守りたいとの思いは、沖縄のみならず日本、そして世界へと広まっている。辺野古新基地建設の断念こそ、民意を忖度した唯一の道である。

日本教職員組合は、「教え子を再び戦場に送らない」ため、安倍政権がすすめようとしている軍事大国化路線に断固反対するとともに、辺野古の新基地建設反対、世界で最も危険と言われている普天間基地の早期返還、在日米軍基地の縮小・撤去と日米地位協定の抜本的改定に向けたとりくみを、平和フォーラムとともにすすめていく。

                                                            以 上

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