談話

「教育関連三法案」の閣議決定および国会提出に対する日本教職員組合書記長談話

2007年04月06日

「教育関連三法案」の閣議決定および国会提出に対する日本教職員組合書記長談話

2007年4月6日

日本教職員組合 書記長 中村 譲

3月30日、政府は、学校教育法と地教行法の「改正案」を閣議決定し、27日に閣議決定した教員免許法「改正案」を加え、「教育関連三法案(以下「改正案」)として同日国会に提出した。政府・与党は衆議院に特別委員会を設置して審議を急ぎ、今国会での成立を目論んでいる。

「改正案」は、わずか1ヶ月足らずの審議という常軌を逸した中教審答申「教育基本法の改正を受けて緊急に必
要とされる教育制度の改正について」の内容をほぼ踏襲し法案化された。学校教育法では、義務教育の目標として「規範意識」「公共の精神」「わが国と郷土を
愛する態度」などを盛り込み、学校に副校長などの新しい職を設置できるとした。地教行法には、国の教育委員会への指示権と是正要求権を新設した。教員免許
法では、教員免許の有効期間を設け、免許更新制度を導入し10年ごとの講習を義務付けるものとしている。

「いじめ」による子どもたちの自死、児童虐待、学力の二極化など子どもたちの人権侵害、教育格差の拡大と固
定化が深刻さを増している。これらの課題に対して、日本教職員組合は、この間、子どもたちとじっくり向き合う学校現場の体制の確保、狭義の学力ではなく学ぶ意欲を
喚起させるゆとりと豊かさの教育環境の提供、そのための教育制度と教育内容の点検、検証の必要性を指摘してきた。

また、教職員の資質向上には、得意分野づくりや個性の伸長を喚起する環境作りや教育条件整備、法定研修・現
職研修の実態の検証を踏まえた検討が必要であり、安易に教員免許更新制の導入をすべきではないことを訴えてきた。この間、導入された10年研修の検証もな
されていない。

しかし、「改正案」の内容は、教育委員会や学校現場、子どもへの管理・権限の強化など、学校現場に管理・評価、選別・排除を持ち込むものであり、主体的な活動が阻害される懸念は拭えない。また、地方に対する国の関与を強め、教育の地方分権を後退させることにつながる。

教育関連三法は学校現場に直結する重要な法律である。国会では、「子どもたちを社会の主権者としてどう育む
のか」「免許更新制が教員の資質向上に資するものであるか」「教育活動にどのような影響を及ぼすのか」など、あらゆる角度から教育現場の課題を検証し、実
証的なデータにもとづく分析をもとに慎重に議論をすすめるべきである。国会の場では、一法、一法を十分に審議し、与党の政治的な思惑で「改正ありき」と拙
速な結論を出すことは断じて許されない。

日本教職員組合は、さまざまな教育を取り巻く課題に対し、学校現場の実態をふまえ、子ども・教職員のいきいきとした教育活動を保障するには、今何をすべきかを広範な連帯のもと、保護者・地域の人々に訴えていく。

教育関連三法案の「改正」に反対し、組織の総力をあげた運動を展開する。

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