談話

「高速炉開発計画の方針」発表に対する書記長談話

2016年12月02日

「高速炉開発計画の方針」発表に対する書記長談話

 2016年12月2日

 日本教職員組合書記長 清水 秀行

11月30日、政府は、第3回高速炉開発会議において、「エネルギー基本計画に基づいて、核燃料サイクルを推進するとともに、高速炉の研究開発に取り組むとの方針を堅持する」とした「高速炉開発計画の方針」の骨子(案)を発表した。

高速増殖原型炉「もんじゅ」の廃炉決定にともなう今回の核燃料サイクル計画の継続は、「もんじゅ」の失敗の反省と検証もないまま、成否が見通せない巨額のプロジェクトに突きすすむことにつながり、無責任極まりない。

そもそも会議の参加者は、経済産業大臣や文部科学大臣、電力会社でつくる電気事業連合会、原子炉メーカーの三菱重工業、「もんじゅ」の運営主体である日本原子力研究開発機構など「もんじゅ」に関係した者ばかりで、公正な判断が行われているとは言いがたい。

政府がめざす高速炉は、「もんじゅ」の原型炉さえ満足に動かせなかったのに、より安全で経済効率の高い実証炉を造れるのか、その説明は皆無に等しい。国際協力をふまえるというが、頼りにするフランスの実証炉「ASTRID(アストリッド)」計画は、フランス政府が建設の是非も含めて何ら明確にはなっていない。

日本はすでにプルトニウムを48トン、通常の原爆で6千発分を所有している。経済性も欠き、高速炉の実用化に具体的な展望がない今、核燃料サイクル計画へのこだわりは被爆国日本への国際的な疑念を抱くだけで、これ以上の国費投入には全く正当性はない。

今回の方針は、過去の教訓に学ぶことなく、疑問だらけの高速炉開発を継続・推進しようとするものである。こんな愚行は許されない。「高速炉開発計画の方針」の撤回を強く求める。

日本教職員組合は、「核と人類は共存できない」として、原子力政策推進から再生エネルギーの促進、省エネルギー推進への政策転換を求めてきた。今後とも、平和フォーラム・原水禁とともに脱原発社会の実現をめざしとりくみを強化していく。

                                                                                    以上

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