談話
中教審「幼稚園、小学校、中学校、高等学校及び特別支援学校の学習指導要領等の改善及び必要な方策等について(答申)」に対する書記長談話
中教審「幼稚園、小学校、中学校、高等学校及び特別支援学校の学習指導要領等の改善及び必要な方策等について(答申)」に対する書記長談話
2016年12月21日
日本教職員組合書記長 清水 秀行
本日、中央教育審議会は、学習指導要領改訂にむけた「答申」を文部科学大臣に対して行った。文部科学省は、今年度中に学習指導要領改訂を告示するとしている。「答申」では、教育内容の大幅変更だけでなく、指導方法や評価にまで言及している。さらに過日発表された「国際数学・理科教育動向調査(TIMSS2015)」や「生徒の学習到達度調査(PISA2015)」の結果にも触れたものとなっており、「点数学力」向上にむけた施策となることが危惧される。「答申」から僅か2ヶ月で改訂作業を完了させることはあまりに拙速であると言わざるを得ない。教職員定数増や「点数学力」からの脱却をはかる具体的な施策等の総合的・抜本的な制度改革を優先すべきである。
教育内容について、「答申」では「今回の改訂は、学びの質と量を重視するものであり、学習内容の削減を行うことは適当ではない」とし、内容の精選・厳選や授業時数の削減は行っていない。
さらに小学校高学年の外国語科・中学年の外国語活動の導入、部活動と教育課程の関連づけ、高校の教科・科目構成の大幅な見直し、アクティブ・ラーニングの強調、現場の管理強化が懸念されるカリキュラム・マネジメントの導入は、学校現場の実態をふまえているとは言えない。
今後、「答申」にもとづき、学習指導要領が改訂されることになるが、子どもの実態と学校現場の状況を反映したものでなければならない。本来、ゆたかな学びは、子どもの実態から出発し実践を積み重ねるべきで、学習指導要領はあくまでも大綱的基準であることから、指導方法まで踏み込むことはあってはならない。
日本教職員組合は、これまで、「審議のまとめ」に対するパブリック・コメントや関係団体ヒアリング等で、子どもや教職員の実態等を訴えてきた。引き続き、子ども・地域の実態に即したカリキュラムづくりが可能となる教育施策・条件整備を求めるとともに、現場の実態をふまえた学習指導要領となるよう意見反映をしていく。また、これからも保護者・地域の方々と語り合う場を大切にし、平和・人権・環境・共生を尊重する社会の実現をめざし、現場からの教育改革をすすめていく。