ニュース

「教職員の働き方改革」シンポジウム 【熊本】

2017/08/23

写真 「全国過労死を考える家族の会」の工藤祥子さん

8月4日(金)「働き方改革」シンポジウムが連合熊本・公務労協主催で開催されました。会場の県民交流館パレア第一会議室(百二十三名収容)は参加者で埋まり、席が足らず立見の人もいました。
講師には「全国過労死を考える家族の会」の工藤祥子さんを迎えました。工藤さんは尾木直樹氏らとともに「教職員の働き方改革推進プロジェクト」の呼びかけ人でもあります。演題は「学校現場にも働き方改革の風を」です。
工藤さんは「10年前過労死で主人を亡くした。神奈川県の中学校の体育教員だった。子どもは小学校低学年と高学年。倒れて5日後に亡くなった。皮肉なことに意識のないその5日間が家族そろって過ごせた唯一の時間だった。葬式の時二千人もの会葬があった。こんなに生徒に慕われていた主人がなぜ亡くならなくてはならなかったのか。自責の念にも駆られた。校長先生からの勧めで公務災害の申請をした。しかし、はじめは公務外とされ主人の人生は何だったのかと悔しい思いをした。それから、弁護士さんの力を借りて5年かかって公務災害に認められた。しかし、その大変さと家庭と仕事の疲れで自分も病気になり教員をやめてしまった。今は家族の会の公務災害担当として支援活動をしている。給特法のせいで歯止めなく教員は働かされている。倒れても自主的にやったこととされ、なかなか公務災害には認められない。政府は私たちの声を受けようやく過労死防止対策推進法を作った。公務も対象である。世の中の人たちに私たちの現状を知ってもらわなければならない。命よりも大切な仕事はない。生きるために仕事をしている。死んでしまっては何にもならない。遺族にも後悔の念しか残らない。勇気を持ってほしい。おかしいと思うことはおかしいと言ってほしい。みなさんの小さな声が原動力になる。」と熱く語られました。

~参加者の感想より~

【教職員以外の公務労働者】
・亡くなられた夫の方が担任されていた生徒が「私たちのせいで・・・」と言われ、夫も悲しんでいるだろうとの話にとても悲しくなりました。
・転勤族でPTA役員もやってきたが教職員に時間外手当がないことは知らなかった。
・教職員の残業代ゼロ、4%の手当のみというのは信じられません(恥ずかしながら知りませんでした)
・工藤さんのお話を伺い、教育現場の現状がわかりました。仕事をする上でいくつもの仕事をこなそうと考えてますが自分の力量がわからずにやってしまうのが現状です。特に地震対応をやっている今が同じかなと考えました。今後は断る勇気は必要だと感じました。自分は一人しかいないのだから。

【民間企業労働者】
・民間企業で働く人より教職員の方が勤務体制が異常な状態
・仕事量に見合った給与体制ができていない。本給4%の調整額支給は低すぎる。
・過労死という言葉はニュースでよく耳にしますが、実際の話を聞くと人ごとでは済まされない状況にあるのだな、人の命が重く考えられていないなと思う現状がある。工藤さんの言葉で「会社には代わりの人はいりけど、家庭には代わりの人はいない」というのは本当にそうだと思います。私も体調が悪くても忙しいと迷惑をかけたくないという思いでがんばってしまうので、今日の話で自分を見つめなおすいいきっかけになった。
・民間企業で適切な労務管理がなされておらず長時間労働が発生していることは認識していたが教職員をはじめとする公務員にも同様な問題があることは盲点だった。さらに公務員の場合時間外労働を認定することが困難であり、働く側も長時間労働に対する意識が希薄なのだと思う。民間・公務を区別せず労働者全体の問題として私たちの手で働き方を改革していかないといけない。

【教職員】
・共感することばかりだった。労災で命を落とす労働者、教職員が出ないようにしたい。そのためにも組合の力を強めて職場を守りたい。
・教職員自身が心身ともに健康であることが真に子どものためになるということを改めて感じました。同時に、私たちが小さな声を集めて行動していかなくてはと思いました。貴重な話を聞かせていただいた工藤さん、それからこのような場を設けてくださった主催者の方にお礼を申し上げます。ありがとうございました。
・実際に遺族の方の話を聞くのは初めてでした。教職員の働き方の異常さがよくわかりました。制度の不備や環境の不備を認識しました。
・やりがいや手ごたえを感じながら一生懸命働いていますが、自分の働き方が、長時間労働を是認する社会を支える片棒を担いでいるのだと痛感しました。

【その他】
・教職員の方々の時間外労働の実態が想像以上に過酷なものだと知りました。
・まずは(教員の)仕事の種類・量の多さに驚いた。次に、公務災害の申請手続きが所属長の裁量にある点におどろいた。
・給特法の存在は今後の高度プロフェッショナル制度採用後の労働環境を想像するのに有益だった。やはり、同制度は労働環境を破壊することになると確信した。

pagetop