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ユネスコ『グローバル・エデュケーション・モニタリング・レポート』~SDGs達成に向けて~

2022/06/15

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ユネスコ『グローバル・エデュケーション・モニタリング(GEM)レポート』は、国際コミュニティが協力して教育の進歩に責任を果たすことを約束した「ダカール行動のための枠組み」(2000年)の達成状況をまとめた『「万人のための教育(EFA)」グローバル・モニタリング・レポート(GMR)』として2002年に始まり、2015年の国連サミットで「持続可能な開発目標(SDGs)」を含む「持続可能な開発のための2030アジェンダ」が採択されたことを機に、SDGsの教育分野のターゲット達成に向けたとりくみの進捗状況をとりまとめています。

2022年に20周年を迎えるGEMは、これまでに17本のレポートを報告し、各国の教育開発を追跡し、重要な課題を浮き彫りにし、国内外の議論を喚起してきました。2021年に発行された最新版の報告書「教育における非政府アクター」では、非政府主体の教育活動に関して重要なポイントを次の通りに指摘しています。

 教育において、非政府アクターが関与しない部分はない(子どもたちが使う教科書、食堂の食事、学ぶスキルなど、多くのことにも影響を与えている)。
 多くの人々が公的部門による教育を支持している(教育格差が大きい国ほどその支持が高い。およそ10人に9人が、教育は第一義的には公的なものであるべきだと考えている)。
 しかし、このような支持は、複数の低所得および中所得国で、徐々に失われてきている(公立学校の数が不足し、その質が低下している地域など)。
 公的部門による教育は無償ではない(教育総支出に占める家計による負担の割合は、世界全体で30%、低所得および中所得国では39%である)。
 公的部門による教育は包摂的でないことが多い(多くの公教育制度は、人々の階層化や社会的分断を防ぐことに失敗している)。
 どのタイプの教育機関も、他のタイプより質の高い教育を提供しているわけではない。(家庭の豊かさを差し引いて考えると、私立学校に通うことによる明白な優位性は、2分の1から3分の2ほど低下することが分かっている)。
 規制やモニタリングを行い、遵守させる能力は、これらの必要性の高いところで弱い傾向にある(政府による規制は、登録・承認・認可(98%)、教員資格(93%)、設備(80%)、生徒/教員比率(74%)に重点が置かれているが、質や公正性に焦点を当てている規制は稀である)。
 非政府アクターは、幼児教育、技術教育、高等教育、成人教育において一層の存在感を示す(これらは時に、公正性や質を犠牲にしている。非政府アクターによって提供される幼児教育や高等教育は一般的にコストが高いため、都市部の富裕層がこれら教育機関により多く在籍している)。
 政府は、すべてのタイプの教育機関、生徒、教員を、単一システムの一部としてとらえる必要がある(基準や情報、インセンティブ、アカウンタビリティは、政府が特権や搾取から目をそらすことなく、すべての人々の教育を受ける権利を守り、尊重し、実現するために役立つはずである)。

*UNESCO GEM Reports (英語) https://www.unesco.org/gem-report/en

日本教職員組合は、これまで、日本のみならず、すべての人々が質の高い教育を公平に受ける機会が保障されるようとりくんできました。非政府主体の教育活動範囲は広く、子どもたちのゆたかな学びと育ちを確保するために連携してとりくんでいくことが重要ですが、SDGsの達成にはまず国が十分な責任を果たしていかなければなりません。そのためには、十分な教育予算を確保していく必要があります。私たちはSDG4「質の高い教育をみんなに」をはじめとした教育分野の目標達成にむけ、今後も各関係団体とともに協力してとりくんでいきます。

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