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6月27日 23年度教育予算拡充に関する要請を6月27日に行いました
2022/06/27
文部科学大臣
末松 信介 様
日本教職員組合
中央執行委員長 瀧本 司
2023年度 教育予算拡充に関する要請書
日頃より、教育の発展にご尽力されていることに対し敬意を表します。
新型コロナウイルス感染症拡大によって、子どもの学びは大きな影響を受け、未だ収束が見通せない中、教職員は子どもたちに寄り添い懸命に教育活動をすすめています。すべての子どもの学びを保障し、GIGAスクール構想にむけたICT機器の活用など、時代に対応する教育環境整備は、国による十分な予算確保が必要です。
学校現場では、貧困・いじめ・不登校など解決すべき課題が山積しており、子どもたちのゆたかな学びを保障するための教材研究や授業準備の時間を十分に確保することが困難な状況が続いています。
21年の法改正により、小学校の学級編制標準は段階的に35人に引き下げられていますが、今後は、小学校に留まることなく、中学校・高等学校での早期実施も必要です。加えて、きめ細かな教育活動をすすめるためには、さらなる学級編制標準の引き下げ、少人数学級の実現が求められます。
学校の長時間労働の問題は、給特法が改正されたものの依然として深刻です。時間外在校等時間の上限規制は指針に格上げされましたが、業務量削減の抜本的施策がないまま、実感できる働き方改革までには至っていません。
昨年度の日教組Web調査からも過労死ライン越えの長時間勤務実態は改善されていないことが明らかとなっており、学校の働き方改革やゆたかな学びの保障、安全・安心な教育環境を実現するためには、教員の持ち授業時数の軽減や小学校高学年教科担任制のための加配教員の増員、少数職種の配置増など教職員定数改善が不可欠です。また、教員不足の問題においても、処遇改善に加え、業務削減・定数改善が重要です。
2023年度教育予算において、次の事項の実現にむけ要請いたします。
記
1.全国的教育水準の確保に不可欠な義務教育費国庫負担制度の国負担率2分の1への復元を行うこと。
2.小学校高学年教科担任制への教員配置増を含め、子どもたちのゆたかな学びの実現にむけ教職員定数改
善計画を策定して、以下の教職員定数改善を行うこと。
①小学校4年生の35人学級実施にあたっては、加配教員の付け替えを行うことなく、必要な教員数を配置
すること。
②小学校高学年教科担任制のための教員を大幅に増員すること。
③学校の働き方改革推進にむけ、小学校では20時間、中学校では18時間、高等学校では16時間など持ち
授業時数の上限を設定するとともに、それにともなう教員配置改善を行うこと。
④「幼保連携型認定こども園の学級の編制、職員、設備及び運営に関する基準」をふまえた1学級の幼児
数となるよう教職員配置改善を行うこと。また、養護教諭等の配置を行うこと。
⑤養護教員、栄養教職員の配置基準の見直しを行うこと。当面、加配教職員の増員を行うこと。
⑥事務職員の中学校区ごとの共同学校事務室加配配置改善及び職務・職責の変更にともなう小中学校へ
の省令事務長マネジメント加配を新設すること。また、高等学校事務長の基礎定数を改善すること。
⑦通級指導を実施するすべての高等学校への複数の教員加配改善を行うこと。
⑧実習教員、寄宿舎教員、学校現業職員の配置改善を行うこと。
⑨中学校・高等学校での35人学級の早期実施とさらなる少人数学級の実現による配置改善を行うこと。
また、定時制高等学校における20人以下学級の実現による配置改善を行うこと。
⑩少数職種の再任用短時間勤務者を円滑に配置できるよう措置すること。
3.スクール・カウンセラー、スクール・ソーシャルワーカー、学習指導員、教員業務支援員、部活動
指導員、情報通信技術支援員、学校司書、特別支援教育支援員、医療的ケア看護職員などの配置拡充・
処遇改善を行うこと。
4.部活動の地域移行について、自治体に十分な財政支援をすること。また、学校体育施設等の開放事
業において、必要となる施設整備・修繕費についても予算措置を行うこと。
5.教育予算の確保を行うこと。
(1)GIGAスクール構想のICT環境整備については、ソフトウェア費、保守・機器更新・有償保証費、
光熱費などの予算措置をはかること。同時に、社会的インフラとして、自治体単位で情報アクセス
環境を整備すること。また、「GIGAスクール運営支援センター整備事業」の補助割合を引き続き
2分の1とすること。
(2)高等学校の「一人1台端末」については、国庫負担とすること。当面、自治体において地方財政
措置の予算化がはかられるよう指導・助言すること。
(3)小学校35人学級編制のための教室整備に十分な予算措置を行うこと。また、改正バリアフリー
法にともなう施設設備改善にむけ、予算化をはかるよう総務省・自治体にはたらきかけること。
(4)学校給食衛生管理の基準を遵守するため、給食調理場の空調設備などの改善充実並びに人員配
置のための予算措置を行うこと。
(5) 高等学校授業料について、国際人権A規約の趣旨をふまえ無償制に復元すること。当面は、高
等学校等就学支援金制度など、修学支援制度の拡充、奨学のための給付金の増額をすること。また、
大学授業料の軽減と授業料免除対象者の拡大と大学生に対する給付型奨学金の拡充等を行うこと。
(6)定時制・通信制高等学校における就職支援員や日本語指導員などの人員配置を講ずること。
(7)東日本大震災の「被災児童生徒就学支援等事業」について、引き続き全額国庫負担支援による十
分な就学・修学支援に必要な予算確保をはかること。また、支援内容が変更となった「地震・津波
被災地域」についても、「原子力災害被災地域」と同様の支援内容とすること。
(8)大規模災害の災害等の理由により就学・修学が困難な子ども対象の「被災児童生徒就学支援等事
業」について引き続き継続すること。
(9)就学援助制度の拡充、特別支援教育就学奨励費の増額及び支給対象を高等学校まで拡大するとと
もに要件の緩和をすること。
(10)「第6次学校図書館図書整備等5か年計画」の確実な実施にむけ、予算化をはかるよう総務省・
自治体にはたらきかけること。
(11)教職員の勤務実態と職務の複雑、困難及び責任の度の高まりに即した給与改善のための予算措置
を行うこと。
(12)教職員の退職手当に係る調整額区分の適用改善をはかること。
(13)国立大学法人運営費交付金の増額と教育・研究の自由が確保される公平・公正な配分、ゆたか
な私学教育のための私学助成を拡充すること。
以上