談話

「核兵器禁止条約」の採択に関する書記長談話

日本教職員組合書記長 清水 秀行
2017年07月11日

 「核兵器禁止条約」の制定にむけた第2回交渉会議が国連本部において開催され、7月7日、条約成文が122ヵ国の賛成により採択された。「法的に核兵器を禁止する」ことを目的とした条約の採択は史上初のことであり、核兵器時代を終わらせるための原則、約束、仕組みをこの条約が提供することになる。
 
 「核兵器禁止条約」によって禁止される内容は、核兵器の使用、開発、生産、保有、実験等のほか、核抑止力を否定する「使用の威嚇」も交渉過程で禁止項目に加えられた。核軍縮が遅々としてすすまない状況の打開にむけ、核兵器を所持しない国をはじめとする国際社会が強い意思を示したものである。
 
 条約の前文には「核兵器使用の犠牲者(Hibakusha=ヒバクシャ)の受け入れ難い苦しみと被害に留意する」と明記された。これは、広島・長崎の被爆者に対する配慮はもとより、核兵器廃絶にむけてこれまで被爆者が果たしてきた役割の重要性を国際社会が認めたことにほかならない。
 日本政府は「国際社会の分断を一層深める」として、交渉会議に参加せず条約の制定にも反対している。「唯一の被爆国」日本は、これ以上核兵器廃絶を求める多くの声に背をむけることは許されない。核兵器保有国と非保有国との橋渡し役としての責任を果たすべきである。そのためにも、政府がまず条約に参加し、各国に対して条約に署名、批准するよう働きかけることを強く求める。

 日教組は「核と人類は共存できない」として、原水禁・平和フォーラムとともに運動を続けてきた。「核兵器禁止条約」の採択を歓迎するとともに、引き続き、「非人道的兵器である核兵器の廃絶」という人類共通の目標の実現のため、あらゆる機会をとらえて、核兵器廃絶にむけた国際社会の一致した行動を求めて幅広い世論喚起等にとりくんでいく。 

以 上                                

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