談話

「共謀罪」法成立に抗議する書記長談話

日本教職員組合書記長 清水 秀行
2017年06月15日

本日、参議院本会議において、「テロ等準備罪(共謀罪)」法案を含む「組織犯罪処罰法改正案」が強行採決され、成立した。日教組は、この暴挙に対し満身の怒りをもって断固として抗議する。

与党は、法務委員会での討論や採決を省略する「中間報告」といった異例な手段をとり法案を成立させた。学校法人「加計学園」をめぐる文書の問題で文科省が再調査に追い込まれ、野党が攻勢を強める中で早期の国会閉会を優先する強行策に出たことは明らかである。異なる意見に耳を貸さない。数の力で押し切る。民主主義国家とは正反対の、議会制民主主義を踏みにじる強権的な国会運営であり、断じて許すことができない。

参議院での審議は、17時間50分と不十分であり、法案をめぐる疑問と危惧は、一向に解消されていない。安倍総理は「丁寧な説明」を繰り返していたが、「説明不十分」という国民の8割近くの声を一顧だにしなかった。
「共謀罪」は、実際に犯罪行為がなくても、その話合いをし、準備を意図したと思われる行為があるだけで取り締まるものであり、市民の人権や自由を広く侵害するおそれがある。政府はテロ対策に必要であるとしているが、対象とされる犯罪は、277と広範で、組織的犯罪集団や実行準備の定義が明確でなく、捜査機関の権限も大幅に拡大される。「共謀罪」の恣意的運用によっては、一般市民でも「組織的犯罪集団」の一員となり得るなど、労働組合や市民団体の弾圧の手段とされる危険性は明白である。        国連人権理事会のジョセフ・ケナタッチ特別報告者による「プライバシーの権利やその他の基本的な国民の自由の行使に深刻な影響を及ぼす」との懸念を表明した書簡に対しても、極めて不誠実な一方的な主張を繰り返しただけである。

安倍政権は、「特定秘密保護法」「安保関連法」によって憲法の立憲主義や国民の人権を踏みにじってきた。今回の「共謀罪」では、国民の基本的権利を一層侵害しようとしている。さらに、安倍政権の最終目標が、憲法9条改悪であることは明らかである。憲法改悪をはじめとした「戦争のできる国づくり」をすすめる全ての動きを、断じて許してはならない。

今後、新設された「共謀罪」の危険性について、引き続き世論に広げていくとともに、政府や捜査機関による濫用を未然に防いでいく闘いが求められる。日教組は、平和フォーラム・戦争させない1000人委員会等に結集し、廃止にむけて引き続き全力で運動をすすめていく。また、民主的なリベラル勢力の総結集により、安倍政権の退陣にむけとりくみを強化していく。

                                   以 上

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