談話

いじめ防止対策推進法の成立に関する書記長談話

2013年06月21日

いじめ防止対策推進法の成立に関する書記長談話

2013年6月21日

 日本教職員組合 書記長 岡本 泰良

本日6月21日、「いじめ防止対策推進法」が参議院本会議において可決、成立した。本法には学校の多忙化解消や子どものストレスの除去等、いじめの根本的解決にむけ重要である視点は明記されておらず、極めて不十分である。

第1条(目的)に「児童等の尊厳を保持するため」とあるものの、法自体は子どもへの厳罰化につながるものとなっており、子どもの人権を守る観点から大きな問題がある。いじめは重大な人権侵害であり、解決をはかるための早急な対策が必要であるが、それは子どもを法で縛ることではない。

日本教職員組合は、いじめによる自死を重く受け止め、第156回中央委員会において「子どもたちに寄り添う教育を問い直すアピール」を採択し、改めて、子どもたちの心の叫びを受け止め、教職員の協力・協働体制のもと、お互いを支えあう学校づくりをすすめることを確認した。

いじめは、さまざまなストレス・疎外感が要因となって引き起こされるものであり、根本的に解決するには、子どもの自尊感情を育み自己実現するための支援、子どもたちが安心して本音を語れる「居場所」が必要である。また、子どもが主体となって問題解決をはかれるよう、子ども同士の関係づくりが重要となる。今、子どもに寄り添う教育が求められており、人権教育の推進や教職員が子どもと向き合う時間の確保は不可欠である。

今後、附帯決議に盛り込まれた「子どもの主体的参加」「懲戒を加える際の教育的配慮」「第三者の参加による公平性・中立性の確保」等が実効あるものとなるよう、条件整備をすすめるとともに、学校現場の状況に即した対応が必要である。

3年後の見直しにむけ、いじめに特化したものではなく、子どもの最善の利益を保障するための包括的な法の制定等、子どもの権利に関する法整備を強く求める。

 以上

pagetop