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「ジェンダー平等教育をすすめよう~知る・気づく・動く~」 

2017/08/07

写真 女性ならではの苦闘を話した 古今亭菊千代師匠

写真 「動く」ために私たちのできることは シンポジウム

写真 4分科会の1コマ「働き方改革とジェンダー」分科会の様子

8月3日~4日、日教組は「両性の自立と平等をめざす教育研究集会」を行い、全国より800人を超える参加者がありました。

1日目の全体会では、「女噺家 奮闘中!」と題し、古今亭菊千代師匠からご講演いただきました。冒頭、最近は平和に関しての講演依頼が多く、「私は、憲法とりわけ9条に守られて生きてきた。空気のような存在と思っていた。でも今はその空気も自分で守らないといけない」と思いを語られました。落語会は男社会で、24年前、先輩の三遊亭歌る多師匠とともに東京では初となる女性真打に昇進。それまでには女性ならではの苦闘があったそうです。その証拠に、昇進当時は「女真打」としてくくられ、名簿なども別だったそうです。そのようなご自身の経験をもとに、笑いもあり、元気の出る講演をしていただきました。
午後は、本研究集会のテーマ「ジェンダー平等教育をすすめよう~知る・気づく・動く~」に沿ってシンポジウムを行いました。シンポジストには、選択的夫婦別姓訴訟弁護団の事務局長で、24条変えさせないキャンペーンの呼びかけ人でもある、弁護士の打越さくらさん、兵庫県尼崎市でこどもの居場所を地域で運営する、地域特定非営利活動法人スマイルひろば理事の小倉祐輔さん、そして福岡県教職員組合協議会から養護教員の野田美佐子さんをお迎えしました。
 「意識・習慣」、「労働・家族」、「子どもの多様な性」、しめくくりとしてテーマにもある「動く」ために、私たちになにができるか、そのためのキーワードにもなる「地域とのつながり」について討論がなされました。その中で、シンポジストの皆さんからは、「子どもに対しても情報提供が大事、そして意見を聞かれるだけでも子どもは安心し、救いになる」、「子どもは地域・社会全体で育てていくもの、そして子どもはおとなをつなぐもの、私たちおとなも声をあげてつながっていきたい」、と語られました。

2日目は、「ジェンダー平等教育~性の多様性へ理解を広げる~」、「働き方改革とジェンダー」、「男子・男性にとってのジェンダー」、「子どもへの性的虐待~学校現場ができること~」の4テーマで分科会を行いました。
「働き方改革とジェンダー」分科会では、ペイ・エクイティコンサルティングオフィスPECO代表の屋嘉比ふみ子さんに問題提起をいただき、最近ようやく問題化され始めた学校現場での「働き方改革」に対し、ジェンダーの観点、同一価値労働同一賃金原則の観点から考えました。とりくみに際しては、やはり労働組合の力が不可欠であること、そして憲法や基本的人権の尊重が原動力になることが確認されました。
「子どもへの性的虐待~学校現場ができること~」分科会では、看護師・性暴力被害者支援看護職(SANE)の山本潤さんに問題提起をいただきました。自己肯定感、トラウマの話など交え、ワークショップを通して参加者自身が自分のものとして考えることができました。教職員は、何通りもある子どもの、それぞれのプロセスを通して関わることが大切であると確認されました。山本さんは、教職員の意識の高さに感謝されるとともに、性教育やスクールカウンセリングの重要性が訴えられました。
1978年から開催されている本研究会も、ジェンダー平等社会の実現にむけてとりくみのすそのを広げています。16年4月に文科省は、前年度に引き続き「性同一性障害や性的指向・性自認に係る、児童生徒に対するきめ細か対応等の実施(教職員向け)」を発出しました。性的マイノリティの子どもを特別視するのではなく、学校空間を性に中立な環境、性によって不利益をもたらされない環境にしていくことが重要です。そのために教職員が学びの機会を得て、自らの認識を振り返り気づくプロセスが大切です。

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