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「高校授業料無償制度の所得制限を断念させるための緊急街宣行動」
2013/10/02
「高校授業料無償制度の所得制限を断念させるための緊急街宣行動」
2013年10月2日
10月召集の臨時国会において、政府は、「高校授業料無償制度」に910万円の所得制限を設け、その財源を低所得世帯の子どもに対する給付型奨学金に充てるとする制度改定を行おうとしています。これをうけ、日本教職員組合は、2013年9月30日に池袋駅街頭で「高校授業料無償制度の所得制限を断念させるための緊急街宣行動」を実施しました。
910万円の所得制限を設けると、授業料を支払う生徒は全体の1/4弱、およそ22パーセントになると試算されています。高校教育は義務教育ではありませんが、現在は98%以上の子どもが高校に進学しています。また、国際人権規約では、高校教育を含めた高等教育を漸進的に無償化することが規定されており、日本政府もその実施を国際社会に約束しています。実際、OECD加盟34カ国のうち31カ国では、高校教育は無償になっています。
加藤良輔中央執行委員長は、「社会の責任として高校教育を保障する。授業料を無償にする。それはバラマキではない。家庭の経済状況、社会的な格差を子どもの教育に持ち込ませない。」と述べました。さらに、雇用状況が悪化し、労働条件が不安定になっている現状を指摘し、「去年は950万の所得があったけど今年は半減した。自営業の方や、リストラにあった給与所得者の方々にはよくある話ではありませんか。見かけの所得は950万あるけど、子どもが3人いて、それぞれに教育費がたくさんかかる。家のローンの負担が大きい。親の介護にかかる費用が大変などの、個々の状況はどうなるのですか。所得だけでは判断できない家庭の状況の中で子どもたちは高校で学んでいるのです。本当に困っている子どもたちが制度の網の目から零れ落ちてしまう危険性を所得制限ははらんでいるのです。所得制限を設けることが、どれだけ矛盾をはらみ、また技術的にも難しいことは十分お分かりいただけるでしょう。」と警鐘を鳴らしました。また、「国際的には高校教育を受けることは人権であり、それを無償化し、学びたい子どもたちを社会全体が、国が支えていくことは当然のこととして受けとめられているのです。教育におけるグローバルスタンダードといってもいいことなのです。経済活動において『グローバルスタンダード』を声高に主張される方々が、教育においてはグローバルスタンダードを無視する。それが今回の所得制限問題であり、国際的な潮流に逆行する政策であることを申し上げておきます。」と矛盾点について訴えました。
委員長の呼びかけとともに、「所得制限にNo!!高校授業料無償制度の継続を!」というチラシを入れたティッシュを配布し、「現行の高校授業料無償制度を継続し、新たな財源で給付型奨学金を求める署名」も呼びかけました。わずか1時間半の間に277筆の署名を集めることができました。高校生が関心を持って、委員長の呼びかけに聞き入り、署名に協力した姿が印象的でした。