談話

「日印原子力協定」国会承認に対する書記長談話

日本教職員組合書記長 清水 秀行
2017年06月09日

 6月7日、核不拡散条約(NPT)に加盟せず、核兵器開発を続けるインドに対する「日印原子力協定」が国会で承認された。被爆国の国是ともいうべき核兵器廃絶を訴えてきた外交の基本を踏みにじるものであり、日教組は、核軍縮・核不拡散及び安全なエネルギー政策を求める観点から、強く抗議する。

 国会審議の中で、「インドが核実験を行うならば協力を停止する」との条件は、協定本文にも関連文書にも明記されていないことが明らかになった。岸田外相は「協定でインドをNPTに実質的に取り込むことになる」と繰り返したが、インドの核開発を止めるための手段は何も担保されず、包括的核実験禁止条約(CTBT)への署名の約束や核分裂性物質の透明性確保もとりつけなかった。
 さらには、国際原子力機関(IAEA)の保障措置も一部のみで、インド政府が民生用と認めない施設は、高速炉や再処理施設も保障措置の対象外となっている。再処理を認めている「日印原子力協定」の結果として生産されたプルトニウムが軍事転用されない保証はない。「日印原子力協定」はインドを核保有国として認めるのみならず、NPTに例外を認めて、核不拡散体制そのものを崩壊させるものである。
 また、東電福島第一原子力発電所において、歴史的な過酷事故を起こした日本が、その事故の収束すら見通しが立たず被災者への支援・保障すら十分でないのに、他国の原発建設を推進することは倫理的・人道的に問題である。

 日教組は、「核と人類は共存できない」との立場から、核兵器廃絶・NPT体制の強化にむけて、平和フォーラム・原水禁と連携してとりくむ。また、再生可能エネルギー政策への転換など、脱原発社会実現へむけ粘り強くとりくんでいく。
                               

 以上                              

pagetop