談話

「共謀罪」法案の衆議院強行採決に対する書記長談話

日本教職員組合書記長 清水 秀行
2017年05月23日

 本日、衆議院本会議において、「テロ等準備罪(共謀罪)」法案を含む組織犯罪処罰法改正案が強行採決された。日教組は、この暴挙に対し怒りをもって強く抗議する。

 「共謀罪」法案をめぐる衆議院法務委員会の審議は、野党議員の質問に対し、「一般市民は捜査の対象にもならない」など根拠のない答弁を機械的に繰り返したり、金田法務大臣に答弁を求めたにもかかわらず政府職員が勝手に答弁したりするなど、非民主的な異例づくめなものであった。所管大臣すら法案の内容を十分理解しておらず、十分な審議もされない中で、数の力で押し通したことは国会軽視も甚だしく、断じて許すことはできない。
 
 277もの犯罪について共謀の段階から捜査及び処罰できる「共謀罪」法案は、既遂処罰を基本としてきたわが国の刑法体系を覆し、人々の自由な行動を制限し、国家が市民社会に介入するものである。法案には「テロリズム集団その他の組織犯罪集団」という言葉が加えられたものの、法の適用範囲を限定するものではない。
 それゆえに、脱原発、反基地など、政府の重要施策に異論を唱える団体や市民に対し、捜査当局の恣意的な運用や過剰な取り締まりがなされる懸念を打ち消すことはできない。「共謀罪」が制定されれば、市民の行動や人と人との会話、目配せ、メール、LINEなど、人の合意のためのコミュニケーションそのものが広く監視対象とされることになる。

 喫緊の世論調査(朝日新聞 5月16日)では、「共謀罪」法案を今国会で成立させる必要はないという声は64%に達し、必要という声18%を大きく上回った。法案反対の世論は急速に広がっている。また、全国の57地方議会で反対や慎重な審議を求める意見書が相次いで可決されている。

 日教組は、憲法で保障された内心の自由を侵害し、監視社会の強化につながる「共謀罪」法案を平和フォーラム・戦争させない1000人委員会等に結集し、廃案にむけて引き続き全力でとりくんでいく。
                             

                                    以上

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