談話

「国際学習到達度調査(PISA2022)」の結果公表に関する書記長談話

2023年12月07日

書記長 山木 正博

 

 12月5日、経済協力開発機構(OECD)は、「国際学習到達度調査(PISA2022)」の結果を公表した。2022年調査は、科学的リテラシー、読解力リテラシー、数学的リテラシーの3分野のうち、数学的リテラシーを中心分野とし、81の国・地域から15歳の子ども約69万人が抽出で参加した。新型コロナウィルス感染症(以下 感染症)の拡大後、初めての実施となり、感染症が各国の子どもの学習環境や学力にどう影響したのかについて分析された。

 

  日本は3分野において「平均得点が高いグループに位置する」とされた。OECDは日本の結果に対して、感染症による休校期間が他国に比べて短かったことが影響した可能性を指摘している。また、文科省は「教員の献身的なとりくみにより、学習機会が確保されたことが結果につながった」とするとともに、「教員の献身さに頼るだけでなく、働き方改革や処遇の改善をすすめる必要がある」とした。今後、この分析結果をふまえた教育政策の立案・実施が想定される。しかし、順位変動をもとにするのではなく、学校現場や子どもの実態をふまえたものでなければならない。子どもたちに必要なのは、点数や順位を上げることに重点をおくことではなく、学ぶ意欲や学びあう人間関係づくりなど、子どもが主体となる学びをすすめることである。そのためには、子どもと向き合い十分な教材研究や授業準備ができる教育環境の整備は欠かすことができない。

 

   多忙な中で教職員は、子どもたちの学びの保障のため日々努力している。全国学力・学習状況調査により、「平均正答数・正答率」の向上が求められるなか、学校現場はその対策を迫られ、子どもや教職員は追い込まれている。OECDは「子どもには、自主的な学習にむけた準備が必要」としており、国際学習到達度調査は、毎年の実施ではなく、抽出での調査となっている。全国学力・学習状況調査のあり方も抜本的な見直しが必要である。

 

 日教組は引き続き、子どもと向きあう時間、教材研究や授業準備の時間を確保するために学校の働き方改革をすすめるとともに、子どもたちのゆたかな学びを保障するための教育研究活動をすすめていく。

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