談話

稲田朋美防衛大臣の発言に対する書記長談話

日本教職員組合書記長 清水 秀行
2017年03月14日

 稲田朋美防衛大臣が、8日、参議院予算委員会で、教育勅語について、「日本が道義国家をめざすというその精神は、今も取り戻すべきだと考えている」「教育勅語の精神である道義国家をめざすべきであること、そして親孝行だとか友だちを大切にするとか、そういう核の部分は今も大切なものとして維持しているところだ」と発言した。日本国憲法と教育基本法のもとすすめられてきた戦後教育を否定するものであり、断じて容認できない。

 教育勅語は1890年に発布、施行され、天皇を頂点とする国家をめざし、軍国教育や軍国主義の根拠となったものである。親孝行や友だちを大切にする、夫婦仲良くといった徳目が並ぶが、その核心は戦争が起きたら国体思想のもと天皇のために命を捧げよということである。
 
 1948年に教育勅語は、衆議院で「排除」、参議院で「失効確認」の決議がされた。衆議院では「これらの詔勅の基本理念が主権在君並びに神話的国体観に基いている事実は、明らかに基本的人権を損い、且つ国際信義に対して疑点を残すもととなる」とし、「この憲法は、国の最高法規であって、その条規に反する法律、命令、詔勅及び国務に関するその他の行為の全部又は一部は、その効力を有しない」とする憲法98条にもとづき教育勅語の「排除」を決議した。稲田防衛大臣の発言は、こうした「排除」「失効確認」を決議した国会の意思に反するものであり、国会に対して責任を負うべき国務大臣の立場とも相いれるものではない。

日教組は「教え子を再び戦場に送るな」のスローガンのもと、平和・人権・環境・共生を基盤とした憲法理念の実現と民主教育の確立にとりくんできた。
稲田防衛大臣の発言は、国民主権、平和主義、基本的人権の尊重という日本国憲法の理念を否定するものである。稲田発言に断固抗議し、発言の撤回と即時辞任を要求する。

                                              以上

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