談話

スポーツ庁「運動部活動の地域移行に関する検討会議提言」に対する書記長談話

2022年06月07日

日本教職員組合
書記長 山木 正博

   6月6日、スポーツ庁「運動部活動の地域移行に関する検討会議」は、「運動部活動の地域移行に関する検討会議提言~少子化の中、将来にわたり我が国の子供たちがスポーツに継続して親しむことができる機会の確 保に向けて~」(以下、「提言」)をスポーツ庁長官に提言した。

 少子化がすすむなか、子どものスポーツ環境について「学校の運動部活動だけでは支えきれなくなっている」とし、「学校単位から地域単位での活動に積極的に変えていく」ことで、子どもたちが継続的にスポーツに親しむ機会の確保や学校の働き方改革の推進をはかるとしている。そして、改革の方向性として、休日の運動部活動から段階的に地域移行し、23年度の開始から3年後の25年度末を目標時期とした。

 

 日教組はこれまで、学校の働き方改革の実現とスポーツ活動において子どもの権利が保障されるためには、社会教育の基盤整備が必要であるとし、国による自治体等への支援、子ども・保護者・学校等、当事者への丁寧な説明と周知などを求めて、スポーツ庁に意見書を提出するとともに協議を行ってきた。

 

 「提言」では、多様なスポーツ団体等を実施主体とした子どもの志向や状況に適した機会の確保、必要な予算の確保や多様な財源確保の検討、指導者の質の保障・量の確保、大会のあり方や運営の見直し、経済的に困窮する家庭への支援、学習指導要領の次期改訂における見直し等が盛り込まれた。これらは、子どもたちの最善の利益を実現するための環境整備に資するものであり評価できる。

 今後、「受け皿」となる実施主体や施設等の確保、持続可能な活動とするための指導者等に対する労働対価は不可欠であり、そのための国による予算・財源の継続的な確保策を示すべきである。また、地域の実態に即し、当事者の声を反映しながらすすめることが重要である。さらに、ガイドラインの改訂において、子ども・教職員等の健康保持、人権を守る視点がこれまで以上に盛り込まれることが必要である。

 

 文化庁においても、文化部活動の地域移行について検討がすすめられており、今後、方向性が示されることとなっている。部活動に関して、子どもの人権・学校現場の負担等の観点から社会教育への移行をすすめるため、日教組は引き続き、文科省・スポーツ庁等と協議するとともに、社会的対話にとりくんでいく。

以上

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