談話

文科省「教員勤務実態調査 速報値公表」に対する書記長談話

2023年04月28日

日本教職員組合書記長 山木 正博

 本日、文科省は「教員勤務実態調査(2022年度)集計【速報値】」を公表した。
調査結果によると、平日1日「平均」の在校等時間と持ち帰り時間の合計は小学校11時間22分(時間外3時間37分)、中学校11時間33分(同3時間48分)、高校10時間35分(同2時間50分)であった。時間外分を1か月(20日)で計算すると、小学校72時間20分、中学校76時間、高校56時間40分であり、いずれの校種でも給特法及び条例等にもとづく上限時間(月45時間)を大きく上回っている。また、休日分を加えると、すべての校種で過労死ラインの80時間を超え、特に中学校では100時間を超えている。連合総研調査や日教組調査と同様の実態が改めて浮き彫りになった。改正給特法が施行されてから3年が経過したにもかかわらず、長時間労働の是正に至っていないことは看過できない。

 

 教職員の精神疾患、離職、欠員を減らすとともに、志望する若者を増やすためにも、正規の勤務時間内に授業の準備や成績処理等を終えられるような業務量とすることが必要である。そのためにも、早急な業務削減と持ち授業時数の上限設定を含めた定数改善が不可欠である。

 

 今回の速報値の公表に先立って行われた文科省の調査研究会等では、給特法について、あくまで枠組みを維持し、教職調整額の見直しや新たな手当の創設等を行うべきとの意見が挙げられている。しかし、処遇面の措置で長時間労働は是正されない。教員は様々な業務におわれ、授業の準備や成績処理等を正規の勤務時間外に行わざるを得ない現状にある。にもかかわらず、給特法があるために、正規の勤務時間外に行う超勤4項目以外の業務については「自主的・自発的」に行っているという実態と乖離した法的評価がされてしまっている。給特法の廃止・抜本的見直しを行い、民間労働者と同様に、教員についても業務に従事した時間を「勤務時間」と認めるべきである。さらに、長時間労働を抑制させるためにも、時間外勤務手当・休日勤務手当を支給させるという財政的サンクションを課せるようにする必要がある。今後、行われる中教審においては、このような議論が行われるべきである。

 

 日教組は、教職員の生活時間を取り戻し、だれもが安心して働き続けられる職場、すべての子どもにゆたかな学びを保障する学校をめざし、「学校の働き方改革」のとりくみを強化する。

以 上

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