談話

2010年度教員賃金予算に係る書記長談話

2010年01月05日

2010年度教員賃金予算に係る書記長談話

2009年12月25日

 日本教職員組合書記長 岡本 泰良

教員賃金に係る2010年度予算案が政府内で確定した。

義務教育等教員特別手当が、当初の財務省提案から圧縮したものの本給比2.2%から1.5%と引き下げられた。また、給料の調整額も調整数1.5から1.25に引き下げられた。

新政権は、民主党のマニフェストの重点施策を盛り込む形で予算編成がされた。急激な景気悪化が新政権となった以降も進行し、今年度の税収が当初見込みの46兆円から37兆円と大幅な減収となり、来年度も同額程度の税収しか望めない極めて厳しい中での編成作業が行われた。

しかし、今回、教員賃金の財源が縮減されたことは到底納得できない。月平均34時間(休日分含めると月平均42時間)の超勤実態が明らかとなっている。一方で、4,200人分の定数改善が措置され評価できるものの、超勤解消や現在の学校の様々な課題に対応するための抜本的な解消策としては十分とはいえない。

実際の教員賃金の優遇は、人材確保法成立後の1980年度の7.42%からすでに、2001年度~2005年度平均の2.76%にまで縮小している。今回の義務教育等教員特別手当の削減により、1.41%程にまで縮小することになる。超勤時間を含めた1時間当たりの賃金比較においては、現に一般公務員より低くなっている。

教員採用倍率が大都市圏を中心に3倍程と低下しており、人材確保が喫緊課題となっている中、教員をターゲットとしたこれ以上の賃金削減は、人材確保法の趣旨を損なう。

財務省は「自公政権下での約束である2.76%削減には、来年度以降言及しない」とし、2.76%削減する取り決めはなくなった。

民主党は、今年5月、「学校教育力の向上3法案」を国会に提出した際に、「苦しいときこそ将来を見据えて教育に投資するという、本来の意味での米百俵政策を今こそ実現すべきである」等との主張をした。一方、公共サービス基本法が成立し、公共サービスの実施に従事する者の適正な労働条件の確保と必要な施策を講ずることが盛り込まれている。

「教育は人」である。将来を担う子どもたちへの教育は極めて重要であり、教育に携わる教職員の賃金をはじめとした勤務条件は保障される必要がある。

日本教職員組合はこうしたことをふまえ、来年度以降、教員賃金水準の復元、教職員賃金全体の充実を求めて全力をあげてとりくんでいく。

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