談話
2026年度「全国学力・学習状況調査」の結果公表に関する書記長談話
2026年10月02日
日本教職員組合書記長 丹野 久
9月30日、文科省は2026年度「全国学力・学習状況調査」(以下、全国学力調査)の最終結果を公表した。今年度の結果について文科省は、すべての教科において各自治体で全国的な傾向と大きな差は見られないとし、昨年度と同様の分析をしている。一方、数学では、正答数の少ない層の割合が、一部の自治体で全国の公立校と比べて10ポイント以上高いことを指摘している。また、PISA2025の結果で肯定的回答の割合が低かった好奇心や自己調整の関係についても分析し、学びの自己調整をする子どもの割合が高い自治体では「好奇心や新しい課題に挑戦しようとする姿勢も高い傾向」にあるとした。なお依然として今回も、全国平均との比較や自治体の順位等について、新聞等で報道されている。
公表された結果によると、「授業の内容がよくわかる」と回答した子どもの割合が現行学習指導要領のもとで減少傾向にある。これは膨大な学習内容の量が、子どもの負担となっていることの表れである。また、文科省は2021年度以降に「学校の授業時間以外」の学習時間が減少していると指摘している。また、「学校の授業時間以外における勉強時間が長い児童生徒ほど、各教科の正答率・スコアが高い傾向」にあるとの分析は、やみくもに学習内容や時間の量で一層子どもを追い込みかねない。主体的に学ぶことのできる、ゆとりある学習環境の整備にこそ尽力すべきである。
教職員は、一人ひとりのつまずきや理解の深まり、学習への意欲などを把握し、授業づくりに生かしている。子どもの学びの実態は、全国学力調査の数値で測れるものではなく、学校現場の教育実践からこそ見えてくるものである。全国的な傾向の把握を目的とするなら悉皆調査は必要ないとする専門家の指摘があることからも、全国学力調査は国の教育施策の検証と改善に活用することを基本とすべきである。子どもの学びを支える教育実践と全国学力調査の役割を明確にする必要がある。
2027年度からの全面実施にむけた今年度のCBTでは、調査マニュアルが年々複雑化し、負担増となっているだけでなく、依然として通信や機器のトラブルに追われたことが日教組の実態調査から明らかとなった。ICT環境が未整備のままで、拙速なCBTの導入には多くの課題がある。また、文科省は不登校など配慮が必要な子どもに寄り添った調査にするとして、CBTを学校外でも実施可能としたが、さまざまな悩みを抱える子どもをさらに追い込むことにもつながりかねない。
今回の結果から、学習内容や時間を増やすだけでは、すべての子どもにゆたかな学びを十分に保障できないことは明らかである。学ぶ内容を精選し、子どもが一つひとつの学びを自分のものとして理解し、考え、対話しながら学ぶことのできる環境を整備することが求められている。ゆたかな学びを実現するために、学習指導要領の改訂では、カリキュラム・オーバーロードの解消にむけ、徹底して内容の精選をすべきである。
引き続き日教組は、全国学力調査に起因する過度な競争を排除し、ゆたかな学びを実現するために、悉皆調査廃止や調査の目的・方法・内容・結果公表等の抜本的見直しを求めてとりくんでいく。また、各自治体に対しては、結果の適切な取扱いとともに、子どものゆたかな学びの保障につながる教育条件整備を強く求める。
以上
2026/09/30



