談話

第2期教育振興基本計画の閣議決定に係る書記長談話

2013年06月17日

第2期教育振興基本計画の閣議決定に係る書記長談話

2013年6月17日

 日本教職員組合 書記長 岡本 泰良

第2期教育振興基本計画について、4月の中教審答申以降、政府内で調整がはかられ、6月14日、閣議決定された。

教育に対する公財政支出のOECD平均は、2009年度GDP比、初等中等教育段階3.7%、高等教育段階1.1%となっており、日本はそれぞれ2.7%、0.5%にとどまっている。

しかし、教育振興基本計画は、今後の教育投資の方向性の部分で、4月の中教審答申においては「将来的にOECD諸国並みの公財政支出を目指す」としたものが、閣議決定されたものは「OECD諸国における公財政支出など教育投資の状況を参考とし、真に必要な教育投資を確保していく」とトーンダウンしている。

学校はいじめの問題など諸課題の解決が急務となっている。学校や家庭、地域に「居場所」を見つけることや自己肯定感をもつこともできず、孤独感や将来への不安等に苛まれている子どもの増加は深刻な課題である。子どもの、様々な要因による不安や悩み、ストレスを、寄り添いながらしっかり受け止めるための学校づくりをすすめなければならない。

また、日本は、経済格差の拡大が深刻化している。子どもの相対的貧困率は15.7%となっており、7人に1人が貧困状態にある。経済格差が教育格差を引き起こすという負のスパイラルがさらに拡大することが危惧される。

政府は、35人以下学級の拡充見送りに続いて、高校授業料無償化の所得制限の導入を検討している。今、行うべきは、子ども・学生の学びと教育現場を支援する施策とそのための財政支出である。具体的には、詰め込み教育の復活や成果主義・競争主義の強化ではなく、子どもたちのゆたかな学びを保障するための、高校授業料無償化の継続、給付型奨学金の創設、就学援助制度の拡充、少人数学級の推進を中心とする教職員配置の拡充などの条件整備である。

日本教職員組合は、引き続き、教育関係者にとどまらず、保護者・地域住民など幅広い社会的対話を推進し合意形成をはかる中で、こうした教育諸政策が実現されるようとりくんでいく。

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