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談話

ヘイトスピーチ(憎悪表現)とレイシズム(人種差別)を断固許さず、 多民族・多文化共生社会を求める書記長談話

2014年06月03日

ヘイトスピーチ(憎悪表現)とレイシズム(人種差別)を断固許さず、

多民族・多文化共生社会を求める書記長談話

 2014年6月3日

 日本教職員組合 書記長 岡本 泰良

高松高等裁判所(佐野哲生裁判長)は、5月29日、徳島県教職員組合書記局に乱入して「建造物侵入」と「威力業務妨害」で有罪とされた被告の控訴を棄却した。被告は、2010年4月、「在日特権を許さない市民の会(以下、「在特会」という。)」と共謀し、四国朝鮮初中学校を支援したことに言い掛かりをつけ、徳島県教組書記局に対して民族差別や人種偏見に満ちた、侮辱的、脅迫的な暴力行為に及んだ。被告の行為は、レイシズム・排外主義にもとづく卑劣極まりないものであり、決して許されるものではない。本判決は極めて妥当なものであり、この間の徳島県教組の不断のとりくみに対して敬意を表する。

現在、在日韓国・朝鮮人などマイノリティを標的とする侮蔑的、脅迫的なヘイトスピーチが、全国各地の街頭で繰り広げられ、インターネット上でも差別表現が流布されている。特に、東京の大久保地域で、頻繁に排外主義的なデモが行われ、付近の商店などに嫌がらせ・暴行が繰り返されている。徳島県教組業務妨害事件以外にも、京都朝鮮学校襲撃事件、水平社博物館前差別街宣事件、ロート製薬強要事件などで有罪が確定しているが、被告らは反省することなくヘイトスピーチを繰り返している。これは安倍政権が、歴史認識や領土問題で他国との対立を煽り、愛国心を殊更に強調し、排外的ナショナリズムを助長する動きと軌を一としている。

これに対し国連社会権規約委員会は、5月21日、日本に対して一部の排外主義的グループがヘイトスピーチ(憎悪表現)を繰り返していることの改善を求めている。また、米国務省は、2013年度人権報告書において中国や朝鮮民主主義人民共和国の言論弾圧や人権侵害とともに、「在特会」のヘイトスピーチへの懸念を表明している。そして今、国籍にかかわらない多くの市民が反対の声をあげ、カウンター勢力が組織され、「在特会」のような集団に対して反対の声を上げはじめている。

人間は、歴史的な営みのなかから人権思想を生み出し、近代憲法によって国家に認めさせてきた。日本国憲法は第11条で基本的人権を侵すことのできない永久の権利として保障し、第12条でこの権利は、国民の不断の努力によってこれを保持しなければならないと戒めている。権利とは自らの不断の努力で具体化するものである。

教組は、人権を否定し、民主主義を根幹から覆そうとするヘイトスピーチやレイシズムに断固として反対する。そして、多民族・多文化共生社会を広く構築していくため、人権が息づく学校・社会をめざし一層とりくみを強化していく。

  以上

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