談話
「東海第二原発運転差し止め判決」に対する書記長談話
3月18日、水戸地裁(前田英子裁判長)は、茨城や東京などの住民224人が巨大な地震で重大な事故を引き起こす恐れがあるなどとして再稼働しないように求めていた訴訟で、東海第二原子力発電所(茨城県東海村)について、再稼働を認めない判決を下した。
判決では、「原発から30キロ圏内に住む住民が避難できる避難計画と体制が整っていなければ、重大事故に対して安全を確保できる防護レベルが達成しているとはいえない。」として「実現可能避難計画およびこれを実行し得る体制が整えられているというには、ほど遠い」と日本原子力発電(以下、原電)を厳しく批判した。避難計画の不備を理由に原発の運転差し止めを命じた初の判決である。
国際原子力機関(IAEA)が作成した安全基準である深層防護フレームの緊急時の計画に係る第5防護レベルについて判決は、原告に人格的侵害の具体的な危険があるとした。一方、原電が東日本大震災級の地震、宮城沖での津波を想定していないにもかかわらず、自然現象を考慮した立地・設計の基準である第1防護レベルについては、「安全性に欠けるところがあるとは認められない」としており、判決の認識は不十分である。同日、広島高裁では、伊方原発訴訟に対する四国電力の異議審において、「原発の運転期間中に安全性に影響を及ぼす大規模自然災害が発生する可能性が高いとは認められない」として再稼働を容認する判決を下した。このような司法の判断は、自然災害や原発事故等に不安を抱いている地域住民に寄り添っているとは言えず到底容認できるものではない。また、そもそも小さな国土に人口が密集する日本においては、実効性のある避難計画の策定は、現実的に不可能である。
ひとたび事故がおきれば、人々の生活や人権、命をも奪ってしまう原子力エネルギー政策から脱し、自然エネルギー政策に転換することが重要である。日教組は「核と人類は共存できない」との立場から、すべての原発の再稼働阻止をめざし、今後とも原水禁・平和フォーラムとともにとりくみを強化していく。
以上